14.体内の水分の役割
私たちの身体は、成人では体重の約60%が水分で満たされています。たとえば体重が60kgの人であれば、36kg分が水分ということになります。このように身体の多くを占める水分は、一体どのような役割を担っているのでしょうか。
まず体内の水分は、細胞内液と細胞外液の2種類に分類されます。一つ目の細胞内液は、身体を構成する約60兆個すべての細胞の中に存在し、体内水分のおよそ3分の2もの量を占めています。その主な役割は、私たちの生命活動の源でもある細胞活動に利用され、エネルギー産生や身体の免疫機能などを司る抗酸化酵素の産生、さらに細胞が新しく生まれ変わるための新陳代謝になくてはならない水分です。
そして、残り約3分の1の体内水分にあたる細胞外液は、体内を巡る血液やリンパ液、細胞と細胞の間を浸す間質液として各種さまざまな役割を担っています。
たとえば、全身をくまなく巡る血液の多くを細胞外液が占めています。ご存知のとおり、血液は全身の細胞に酸素や栄養素を運ぶとともに、細胞の生まれ変わりにおいて発生した老廃物、タンパク質の分解によってできた有害なアンモニアなどを回収する役割があります。このほかにも、細胞の中でエネルギーがつくり出される時に放出される熱は体温の上昇につながるので、上がり過ぎないように一定に保つ働きもあります。さらに、血流が滞らないように血液濃度の調整を行うのも細胞外液の役割です。
このように、体内の水分は、私たちのすこやかな生命活動の維持に密に関わっているのです。